英国やぶにらみ第37話 英国観音様事情2010/04/22 23:23

なにしろ、台湾やバンコックあたりを目指す日本人の航空旅客の中には、その道の斬り込み決死隊みたいな連中が必ずいて、団体の添乗員は、この手配の案配が大変らしい。 わが同胞が陽とすると、英国紳士は陰で、表面はネクタイの吊しモデル然だが、その道のつわ者でもある。

さて、世界で一番古い職業といわれる娼婦については、このロンドンでも、現在も立派に存在する。 パリやアメリカとの比較は出来ないが、英国では数段階に分類されるこの手の女性が存在する。

代表として上玉は、例のブロビューム事件に発展したロンドンの、アメリカや日本大使館付近メイフェアー地区に居住している娼婦で、1回のお相手代金何100ポンドのくち。 接触には、人ずての紹介でないとむずかしく、上流階級の社交術にも精通しており、王室のパーティーに同伴してもひけをとらない美貌と、とんがり鼻を武器としているモデルくずれも混じる。 つまりいい女の見本でもある。

その下となると、午後5時を過ぎると、ロンドンの一流ホテルのロビーに陣をとり、団体客のあいだをぬって交渉をはじめる定食型娼婦。 客の部屋でも、近くのホテルあたりでも、交渉次第で業務をいとなむ。

やたらに客の部屋で接触を要求する娼帰は要注意で、あとで持ち金全部が無くなったりする。 ホテルの中でも、バーで接近してくるのは、ロビーにくらべるとしつこいので困る。 うまく断るには、適当な酒を1杯おごって、今夜は駄目と逃げるのがコツで、アラブのおじさんのしつこくて下手な値切り交渉のように罵声を受けないで済む。

同じメイフェアー地区の娼婦でも不精組がいて、一流連中が住んでいる中に、女名前の表礼を出している連中がそれで、普通女名の表札などない町なので目立つ。 聞くところによると、この手の女性は昼間客をとり、夜には別の仕事をしたり、プレイボーイクラブなどのバーガールなどが含まれるそうで、淫乱の部類が混じる。 さらにさがってコベントガーデンの街娼なども商売繁昌とのこと。

日本でも大人のおもちゃ屋などが流行っているが、ロンドンでもこの手の商売がすごい。 ポルノ雑誌をはじめ、まか不思議な器具、薬品、衛生具など、はでな着板とネオンの中は昼下がりから沢山の客で賑わう。

日本人サイズとは格段なので実感にとぼしく、腕が入りそうなコンドームには吹き出したくなる。 客の方も、ひやかしや、一寸見がおもで、実際にはそんなに買わない。 商品?を見ていると英国製品は以外に少なく、米国、日本、韓国、西独、香港など、セックス産業の国際協調に驚くのであるが、どんな顔をして税関や業者が通関手続きをしているのか興味をひく。

ホラーショー、ロックなど、若者に人気の女装傾倒族やパンク族が、資金欲しさのシビヤーな売春ルートが存在している。 ディスコなどで取り引きがされ、相棒が鶏冠へアーの女を一時の金の為に売る。 女の方も、パンクでいい顔の彼氏にあいそをつかされない為に、他人との一夜を平然と共にする。 こんな事態を見ていながら素知らぬ顔をしていなければならない事情の一端に、2ケタの失業率がある。 この現状は、ビートルズ発祥の地リバプールではさらにひどいと云われる。

これらの事は実は表面の事で、水面下にこそロンドンの好色横綱の面目がある。 たとえば無数に存在する会員制のクラブなどでは色事にこと欠かない。 バーやレストランでは当然のごとくライブショーが全裸で上演され、セックスインターコースの実演など、観光客にはまったく知られずに楽しめるロンドンの夜である。 その上公然と、登録会員であればギャンブルも公認されていて、カジノでは毎夜ポンドやドルが飛び交い、灰色のロンドンのビル群の中は実はピンクに染まる。

女性の下着は紳士の為にデザインされると云われるが、長い年月にわたりアンダーウエアーの分野では、英国が世界の冠たる地位を守り続けている。 新素材の採用、カッティング、セクシャル感覚など、総合的に他国は太刀打ち出来ない程だ。 日本でも近年、シルバーローズなど一部のブランドが知られてきたが、輪入されるのは商品ではなくカタログが主で、スケベ紳士にとってはカタログの商品は買わず、スケスケランジェリーのモデルを鑑賞する為とかで、メーカーはぼやきっぱなし。 でも6畳2間のアパートではとてもカミさんには着せられる下着ではないみたい。

JTBかジャルパックの日本人が数名、ドイツの出稼ぎアンチャンやロンドンさえ出てきたスコッチなど数10名が、目を輝かして待つロンドンのレイモンドレビューバー。 バーと云っても飲み屋ではなく有名なストリップ。 全てが観音様御開帳で、男女組合せのショーも含まれる。

ポールレイモンドは英国のヘフナーで、ポルノ誌をはじめセックス産業で巨大な富を得た。 彼と話をする機会があって聞いたのだが、日本人は彼にとって重要な顧客だと云う。 ちなみに、このストリップ小屋は、英、仏、独、そして日本語で開演、休息などの案内がある。 さすが東の横綱と敬服。(荒井利治)

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