再び英国やぶにらみ第8話 パブの小道具2010/04/24 06:54

1ペンスでも安いと評判になるほど、隣接して存在する英国のパブでは、自分の店で金をかけて小道具を揃えることは稀で、ほとんどがスポンサー付きの物で賄う。

何1000と言われる地酒ならぬ"地ビール"があり、ロンドンなどのパブでは、大手ビール会社による経営もあるが、独立した店舗も多く、数あるブランドから、系列によってラガーは何、ビターはどこ、といった選定で販売している。

近年、パブの法律が改定されて、従来の時間制限販売は撤廃され、昼下がりから夜まで通して営業出来るようになった。

ところが、従業員との労働協定はそのままゆえに、今まで通りの営業時間でしか商売をしない店がほとんどで、実質的にはあまり変わっていない。

まずビールであるが、ジョッキは1/2パイントと1パイント(534ミリリットル)用の2種類があり、ビール会社から提供される。 取手付きのものは少なく、どでかいコップといった感のもので、脇腹に大きくビールのブランドが印刷されている。

パブの中は都営バスと同じで、定員のわりに座席が少ないのが普通で、立ち飲みが常識。

日本の居酒屋と違ってアテ(つまみ)などないし、ロンドンねえちゃんのよく育ったおしりが肴となれば、ちょっと寒くても、外の方がビールはうまいというもの。

飲んでる最中でも意気投合すれば、ジョッキを窓の下や街路樹に挟んで帰ってしまうカップルもいるので、身銭をはたいてジョッキを仕入れるパブなどあろう筈がない。

今まで、幾つかジョッキをそのまま載いてきたが、がさ張るので、結局はホテルに置き去り。

次にはジョッキをおくコースターで、これもビール会社やウイスキー会社などの寄贈によるもので、分厚くて程よく水分を吸い込む材料で作られた物が多い。

面白いのは、ブランドなどが両面一杯に描かれていて、白い部分が少ない。 片面印刷だと競馬の予想などを書き込んで、ポケットに人れて持ち帰るケースが多かったので、広告する側の知恵とパブ側の支度時間省略の両面のメリットが、こんなコースターを誕生させた。

タバコ好きの英国人だがら灰皿はパブの必需品で、テーブル、棚、カウンターに所狭しと置かれているが、これまた、ビールや酒の宣伝が一杯で、あまり面白いものがない。 ちょっと深めの皿の感じが主流でこれにも訳あり。 深い灰皿だど、客がタバコを消すのにビールの残りなどを注ぎ込むことがあり、時間がたつと悪臭を出す。 さらに、店員がジョッキを回収しながら、灰皿の中身をごみ箱へほうり込むのであるが、水分が入っているとこれができない。 乱暴な店になると、まとめたゴミを店の前の道路に、営業中にビニールに入れてほうり出す。

チューリップに似たグラスはジンやウイスキー用で、水割りなどを頼むと、底にアイスを少量入れて出してくる。

北の方ではアイス抜きの人も多いので、日本人には水割りが濃い感じがするが、実際には度数が低いので、それほど酔っぱらうこともないようだ。

カウンターには分厚いタオルが敷かれているのが普通で、これもビール会社などから持ち込まれたものである。 日本と違って英国のビールは、ジョッキ上部の泡が少なく、まさしくなみなみと注がれたビールが目の前に出される。

友人の分のジョッキと2個を受け取って支払いを済ませて、やおら自分の分のビールを口からお迎えで、タオルの上に置いたまま1口すすり、友人のジョッキの尻を拭く所作が出来れば満点。(荒井利治)

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