再び英国やぶにらみ第5話 ティーカップ2組、皿2枚 ― 2010/04/24 06:52
ドライアイスの煙りの中をゴンドラに乗った新郎新婦が登場する披露宴、タンスに始まる嫁入り道具、多額の結納金など、英国でいくら説明したって判ってはくれないし、どこの王室の結婚式なのかなどと質問にあう。
18歳にして独立し、親元を離れて核家族化してゆくのが普通の英国では、王族や貴族でもなければ見合い結婚などはないし、他民族混合の国ゆえか、外国人との結婚も日常のことである。 離れて住んでいれば、クリスマスにも親元に帰れない子供もあり、クリスマスカードの交換で無事を祈りあう年もある。
英国人は通常1日5回紅茶を味わうとされるが、これもコーヒーにかわりつつあるのは自然の流れ。 サンドイッチよりハンバーガーが主流となってしまった今日、紅茶では合わないようだ。
従来は、起きぬけの1杯、11時のブレイク、昼食、午後4時のアフターヌーン・ティー、そして夕食後か就寝前、と紅茶を楽しむのが習わしの英国であった。
三つのポットを用意して、紅茶、熱湯、同量のミルクが基本で、紅茶とミルクをカップに注ぐ。 熟湯は2杯目以後紅茶が出過ぎて濃くなった時のうすめ湯である。 どちらを先に注ぐかは有名な議論でいまだ解決せず。 どうやら家ごとに違うようで、世襲で注ぎ方が決まっているらしい。
日本やアメリカではレモンティーを愛飲するが、英国では特別な例を除いてはレモンは使わない。
アフターヌーンティーの時には、紅茶のほかに薄切りのきゅうりをはさんだサンドイッチ、スコーンと呼ばれるソフトブレッドにたっぷりのジャムかマーマレード、あまり堅くないビスケット(間違ってもクッキーとは言わない)が供される。
イングランドではこの程度であるが、スコットランドではローストビーフなどが出されることも多く、早い夕食の感じを増す。 したがって夜食は簡単にすませることとなるが、ビジネス優先の今日では次第にイングランドスタイルになりつつある。
さて、主題の2組のカップと2枚の皿は新婚カップルに親が贈る結婚祝いなのである。
それぞれの家庭には愛用の陶器があり、有名なものにはロイヤルドルトンやロイヤルウースターなどがある。 これらの業者は、一つのパターン(図柄)を100余年にわたり製造しており、その種類も多い。 家族が増えても買い足しが出来るし、壊れた際にも補充も出来る。 2組のカップと皿2枚に祈りを込めて、若いカップルに同じ柄の食器を増やす家庭をつくるように贈るのである。 新家庭でこれがあれば食事や、アフターヌーンティーが楽しめる訳で、日本のように各種の食器を必要としない英国であればのことだ。
このような背景があるから、華族や王室などの館や城を訪れると、食器棚にきらぴやかな食器類が収められて、宝物のごとく展示されていたりする。 紋章が刷り込まれた見事な物も多い。
庶民にとっても同じことで、ロイヤルドルトンの一つの柄を自分たちの家の図柄として何代にもわたり使用してゆくのが習わしというもの。 英国の陶器業者はこの風習に対して、皿1枚の注文でも粗未にすることなく届けてくれる。 こわれ易い物なのに、国内、海外を問わず注文を受けるのも特徴で、彼らにとってはいまだに英国人は世界中に健在といった感覚。(荒井利治)
Copyright (c) T.Arai, 1990. All rights reserved.
18歳にして独立し、親元を離れて核家族化してゆくのが普通の英国では、王族や貴族でもなければ見合い結婚などはないし、他民族混合の国ゆえか、外国人との結婚も日常のことである。 離れて住んでいれば、クリスマスにも親元に帰れない子供もあり、クリスマスカードの交換で無事を祈りあう年もある。
英国人は通常1日5回紅茶を味わうとされるが、これもコーヒーにかわりつつあるのは自然の流れ。 サンドイッチよりハンバーガーが主流となってしまった今日、紅茶では合わないようだ。
従来は、起きぬけの1杯、11時のブレイク、昼食、午後4時のアフターヌーン・ティー、そして夕食後か就寝前、と紅茶を楽しむのが習わしの英国であった。
三つのポットを用意して、紅茶、熱湯、同量のミルクが基本で、紅茶とミルクをカップに注ぐ。 熟湯は2杯目以後紅茶が出過ぎて濃くなった時のうすめ湯である。 どちらを先に注ぐかは有名な議論でいまだ解決せず。 どうやら家ごとに違うようで、世襲で注ぎ方が決まっているらしい。
日本やアメリカではレモンティーを愛飲するが、英国では特別な例を除いてはレモンは使わない。
アフターヌーンティーの時には、紅茶のほかに薄切りのきゅうりをはさんだサンドイッチ、スコーンと呼ばれるソフトブレッドにたっぷりのジャムかマーマレード、あまり堅くないビスケット(間違ってもクッキーとは言わない)が供される。
イングランドではこの程度であるが、スコットランドではローストビーフなどが出されることも多く、早い夕食の感じを増す。 したがって夜食は簡単にすませることとなるが、ビジネス優先の今日では次第にイングランドスタイルになりつつある。
さて、主題の2組のカップと2枚の皿は新婚カップルに親が贈る結婚祝いなのである。
それぞれの家庭には愛用の陶器があり、有名なものにはロイヤルドルトンやロイヤルウースターなどがある。 これらの業者は、一つのパターン(図柄)を100余年にわたり製造しており、その種類も多い。 家族が増えても買い足しが出来るし、壊れた際にも補充も出来る。 2組のカップと皿2枚に祈りを込めて、若いカップルに同じ柄の食器を増やす家庭をつくるように贈るのである。 新家庭でこれがあれば食事や、アフターヌーンティーが楽しめる訳で、日本のように各種の食器を必要としない英国であればのことだ。
このような背景があるから、華族や王室などの館や城を訪れると、食器棚にきらぴやかな食器類が収められて、宝物のごとく展示されていたりする。 紋章が刷り込まれた見事な物も多い。
庶民にとっても同じことで、ロイヤルドルトンの一つの柄を自分たちの家の図柄として何代にもわたり使用してゆくのが習わしというもの。 英国の陶器業者はこの風習に対して、皿1枚の注文でも粗未にすることなく届けてくれる。 こわれ易い物なのに、国内、海外を問わず注文を受けるのも特徴で、彼らにとってはいまだに英国人は世界中に健在といった感覚。(荒井利治)
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